2011年6月16日 (木)
小さなお子さんをお持ちの方は,プールが心配かと思います。もちろん教育関係者もやはり心配しています。
しばらく使っていなかったプール。3月の原発事故。放射性物質を含む原子炉内(正しくは原子炉建屋内というべきでしょうか)の空気(蒸気)の放出。
原発周辺のみならず,「遠」く離れた東京でも検出された「平常時」の何倍もの「放射能」。もう何ヶ月も経つのに原発や放射線がらみの「報道」。
学校プールは消防水利(防火用水)として使われることが多いので,あの日も水が入っていました。
そして,そのままプールシーズン(体育の授業でプールが使われる季節)。
心配しない方が不思議ともいえる状況ですよね。
でも,ここ鹿沼市(栃木県)では,心配する必要はないようです。
実は先日栃木県教育委員会主催の「学校における放射線•放射能に関する講習会」に参加する機会がありました。
ここでは詳細は割愛しますが,福島県境に近い那須の方をのぞいて,栃木県内は(掃除をふくめて)プールの利用に問題はない,ということでした。講師は自治医大の放射性物質の専門家ですからそのことばには重みがあります。
それに,冷静に考えてみれば,いくら時間がたってもプールにある放射性物質(放射線)は増えることはありませんよね。プールの放射線は地震の後の2度の原発事故で空気中に出てしまった放射性物質が降下したものですが,プール内には雨以外に新たに入りこむことはありませんから。
また,プール掃除前の水には放射性のヨウ素やセシウムが溶けていたと思いますが,25mプールの水の量は200t ~ 300t(20万~30万リットル)くらいかなと思いますので,現実にはかなり薄まっていると思われます。ヨウ素は半減期8日ですから,すでに80日以上を経過して 1/500 から 1/1000以下くらいになっていますね。
さらに,プールの底の汚泥にも放射性物質が含まれているはずですが,こちらも降下物ですから,あの2度の建屋の爆発事故の時に放出されたものです。つまり,プール周辺に降下した物質の量と同程度の量の放射性物質・放射線量ということになります。
プールへの流入は無視できるのですから,そこにいるだけなら問題はないということになります。もちろん,プール掃除中に底にたまった汚泥を口にすれば別の心配はあります。
しかし,これも仮に 1g ほど食べてしまったとして計算すると
0.0325μSv
となります(こちらのサイトで計算しました: http://testpage.jp/m/tool/bq_sv.php )。
これは,50年以上にわたって放射性のセシウム137が体内にとどまり,そこから出る放射線を浴び続けたとした場合の影響を表していますから,一時間あたりにすると
0.000000074(μSv/h)になってしまいます。ふだんの放射線量率と比べても6桁も小さい値(百万分の1)です。そんなに長期間体内にとどまることはないでしょうから,そうするとさらにわずかになってしまいます。
というわけで,もともとそれほど大きな値ではなかったわけですから,あの後たびたび放射性物質が空気中に放出されていないのですから,心配することはないのだろうと思います。
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